相続Q&A

「条件または不確定期限つきの贈与・遺贈に対する減殺請求」

質問内容

相続人でない第三者に対して,「X(受遺者)が死亡するまで毎年100万円を遺贈する。」という遺言が作成されていました。Xに対して遺留分減殺請求をすることはできますか?

回答

条件または不確定期限つきで贈与や遺贈がなされていた場合,遺留分の算定にあたり,当該贈与または遺贈の価格は,家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って決定されます(民法1029条2項)。

条件または不確定期限つきの贈与・遺贈とは,以下のようなものです。
①「Xが,医師国家試験に合格したときには,○○円を贈与(遺贈)する。」(条件付き)
②「Xが,○○の債務を代位弁済した場合には,○○を贈与(遺贈)する。」(条件付き)
③「Xが死亡するまで,毎月○○円を贈与(遺贈)する。」(不確定期限付き)


このような贈与・遺贈がなされた場合,他の相続人は,家庭裁判所に対して民法1029条2項に基づく鑑定人選任の審判を申し立てることにより,条件成就・期限確定を待たずに,当該贈与・遺贈の評価額を確定させ,自らの遺留分が侵害されている場合には,当該贈与・遺贈に対して遺留分減殺請求を行うことができます。
遺留分減殺請求の結果,当該贈与・遺贈が全部無効となる場合には,未履行の部分は履行されず,履行済みの部分については遺留分権者に返還されるべきことになります。
遺留分減殺請求の結果,当該贈与・遺贈の一部が無効となる場合,遺留分権者は,受贈者・受遺者に対して,当該贈与・遺贈の評価額から無効となる部分を差し引いた残額を一括して支払うことになります(民法1032条)。

例えば,

⇒ 妻と子2人(長男,長女)をもつ男性が亡くなった。
⇒ 死亡時の遺産は合計1000万円であった。
⇒ 相続人でない第三者Xに対して,
 「X(受遺者)が死亡するまで,毎年100万円を遺贈する。」との遺言が作成されていた。

という場合,遺言の文言に従えば,
Xが死亡するまでは,(遺言執行者から)Xに対して毎年100万円が遺産の中から支払われ,
Xが死亡した時に残額があれば,法定相続分の割合で,妻と子2人に支払われることになると思われます。

しかし,妻と子2人は,相続開始後ただちに
Xへの遺贈の価格を確定するため,家庭裁判所に鑑定人の選任を申し立てることが出来ます。

仮に,鑑定人が遺贈の評価額を「1000万円」と評価した場合
当該遺贈は,相続人らの遺留分(妻250万円,長男・長女各125万円)を侵害していることになります。

そこで,相続人らは,Xに対して遺留分減殺請求を行い,
遺言執行者からXに対して,評価額(1000万円)から遺留分を控除した残額(500万円)を一括支払いしてもらい,
遺言執行者から遺留分(妻250万円,長男・長女各125万円)を受け取ることができます。

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