「特別受益の評価(2)」
質問内容
生前贈与された物件について、処分してしまったり、自然災害で焼失したりしたときも、特別受益に該当するのでしょうか。
回答
民法904条は、贈与された物件が、受贈者の行為によって、滅失したり、価格が増減したりした場合には、相続開始時において、なお原状のままであるものとみなして算定することを定めています。したがって、贈与を受けた物件を、受贈者が処分した場合は、なお特別受益に該当することになり、贈与を受けたときのままの状態とみなして相続開始時の価値を評価することになります。受贈者が修繕や改築を行うなどして物件の価値が上がったような場合でも同様であり、この場合も贈与を受けたままの状態とみなして価値を評価することになります。
これに対し、天災や延焼など受贈者の行為によらずに滅失・毀損してしまった場合は、民法904条の反対解釈によって、特別受益はなくなる、あるいは毀損後の状態に基づいて相続開始時を基準に評価されることになります。