「[3]遺言制度に関する改正」
質問内容
Q2:自筆証書遺言の要件は,どのように緩和されたのでしょうか?
回答
民法968条1項は,自筆証書遺言をする場合には,遺言者自身が「遺言書の全文・日付・氏名」を自書して,押印することを定めています。自筆証書遺言は,誰でも費用をかけることなく作成できる便利なものですが,全てを自書しなければならないために利用しにくいものとなっていました。
そこで,改正民法968条2項は,自筆証書遺言と一体のものとして「相続財産の目録」(以下「財産目録」といいます)を添付する場合は,財産目録については自書しなくてもよいと定めました。つまり,財産目録だけは,遺言者自身が表計算ソフトで作成したり,他の人に作成してもらったり,通帳や不動産登記事項証明書などのコピーを添付したりすることが認められたのです。
ただし,このような自書によらない財産目録が偽造・変造されることを防ぐため,財産目録1ページごとに(両面印刷の場合は両面に),遺言者が署名と押印をする必要があります。