相続Q&A

「[1]配偶者保護のための制度」

質問内容

Q3:配偶者短期居住権制度について教えてください。

回答

1 制度の概要
 配偶者短期居住権制度について定めた改正民法第1037条の内容は以下のとおりです。

(配偶者短期居住権)
第1037条 配偶者は,被相続人の財産に属した建物に相続開始のときに無償で居住していた場合には,次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間,その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し,居住建物について無償で使用する権利を有する。ただし,配偶者が,相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき,又は第891条の規定に該当し,若しくは廃除によってその相続権を失ったときはこの限りでない。
 一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日
 二 前号に掲げる場合以外の場合 第3項の申入れの日から6か月を経過する日
(第2項略)
3 居住建物取得者は,第1項第1号に掲げる場合を除くほか,いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。

 配偶者が,相続開始時点で被相続人所有の建物に居住していた場合には,①当該建物(居住建物)を含めた遺産分割を行うべき場合にはそれが終了するまでの間または相続開始から6か月後のいずれか遅いほう,②それ以外の場合(例えば,居住建物を配偶者以外の者に取得させる旨の遺言があるとき)には,居住建物の取得者が配偶者短期居住権の消滅の申入れ(立退きを求める通知)をしたときから6か月を経過するまでの日,までは居住建物を使用することができます。ただし,配偶者が欠格(民法第891条),廃除(民法第892条)により相続権を失ったときには認められません。一方,配偶者が相続放棄(民法第915条第1項)をした場合であっても,配偶者短期居住権は認められます。

2 留意点
 この規定は,2020年(令和2年)4月1日以降に開始した相続について適用されます。

3 改正の理由
 この制度は,被相続人の死亡により直ちに住み慣れた居住建物を退去しなければならないとすると,配偶者には大きな精神的,肉体的負担となることに配慮して,配偶者の短期的な居住権を保護するために認められたものです。

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