相続Q&A

「[2]遺産分割に関する改正」

質問内容

Q3:遺産の一部分割は,どのような場合にできるのかを教えてください。

回答

1 制度の概要
 相続人は,被相続人が遺言で禁じた場合を除き,原則として,いつでも,遺産の一部分割を求めることができます(改正民法第907条1項)。
 遺産の一部分割は,相続人間の協議によって行うこともできますし(同項),協議が整わない場合には,家庭裁判所の調停・審判によって求めることもできます(同条2項本文)。

2 留意点
(1)遺産の一部分割とは,遺産の一部を残りの遺産から独立させて,その一部だけで確定的に分割することです。
(2)遺産分割を早期に進めるために,争いのない遺産について,先行して一部分割を行うことが有益な場合があります。
 具体的には,①遺産の範囲の一部に争いがあるが,争いがない遺産も存在する場合や,②特定の遺産(例えば不動産)の分け方には争いがあるが,他の遺産(例えば預貯金)の分け方には異論がない場合などに,まず争いがない部分について一部分割をすることが考えられます。
(3)遺産の一部分割の手続(協議・調停・審判)が終わった後,共同相続人は,残りの遺産の一部または全部の分割を求めることができます。
(4)遺産の一部分割の手続(協議・調停・審判)の中で,申立人または他の共同相続人が,残りの遺産の全部または一部の分割を,追加して求めることもできます(その場合は,追加して求められた部分も併せて,遺産の全部または一部の分割を行うことになります)。
(5)例外的に,「他の共同相続人の利益を害する場合」(改正民法第907条2項但し書)には,遺産の一部分割の調停・審判の申立が認められない場合があります(Q4)。

3 改正の理由
 従来から,遺産の一部分割は可能であるという見解が一般的であり,実務上も,遺産の一部分割の調停・審判は一般的に行われています。
しかしながら,改正前の民法にはこれを認める規定がなかったため,今回の改正により明文の規定が設けられました。

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