「[2]遺産分割に関する改正」
質問内容
Q6:遺産分割前に遺産に属する財産が処分されたかどうか,誰が処分したのか等の事実に争いがある場合には,どうしたら良いですか。
回答
1 手続の概要遺産分割前に遺産に属する財産が処分されたかどうか,誰が処分したのか等,「遺産の範囲」に関わる事実に争いがある場合には,遺産分割の前提問題として,まず「遺産の確認を求める裁判」(遺産確認の訴え)を起こす必要があります。
2 留意点
(1)手続上は「遺産確認の訴え」を起こさずに,処分された財産が「遺産」に含まれること(または含まれないこと)を前提として,「遺産分割の審判」を求めることも可能です。
しかし,「遺産分割の審判」には,「遺産の範囲」を確定する効力がないため,その後に「遺産確認の訴え」が起こされ,審判とは異なる判決が確定した場合には,判決で確定した「遺産」を前提として,もう一度「遺産分割の審判」をやり直すことになります。
(2)「遺産確認の訴え」の原告は,処分された財産が「遺産」に含まれること(または含まれないこと)の確認を求めるために,①処分された財産が相続開始時に被相続人の遺産に属していたこと(または属していなかったこと),②その財産が共同相続人または第三者によって処分されたこと(または処分されていないこと),③処分者以外の共同相続人の全員がその財産を「遺産」に含めることに同意していること(または同意していないこと)等を主張・立証する必要があります。
(3)「遺産確認の訴え」によって「遺産」が確定した後,その「遺産」を前提として,遺産分割の調停・審判などを行うことになります。