相続Q&A

「[3]遺言制度に関する改正」

質問内容

Q11:遺贈の担保責任については,どのように改正されましたか?

回答

1 改正前の民法998条は,遺贈の対象が不特定物である場合は,遺贈義務者は受遺者に対して担保責任を負うと定めていました。
 また,同じく改正前の民法1000条は,遺贈の対象が特定物であり,遺言者の死亡時点で第三者の権利の目的となっている場合は,受遺者は遺贈義務者に対して,上記第三者の権利を消滅させるよう請求できないと定めており,特定物か不特定物であるかにより,遺贈の担保責任の取扱いは異なっていました。

2 ところで,2020(令和2)年4月1日施行の民法(債権法)改正により,売買や贈与の担保責任について,契約者の意思により定められた契約内容に適合した目的物を引き渡さなければ,売主・贈与者は担保責任を負うことが定められました。
 ただ,贈与は原則として無償契約であることから,贈与者の責任を軽減し,「贈与の目的である物又は権利を,贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し,又は移転することを約したものと推定する」とされています(改正民法551条1項)。

3 そこで,贈与と類似する遺贈に関しても,「遺贈の目的である物又は権利を,相続開始の時の状態で引き渡し,又は移転する義務を負う」として,贈与と同様,遺贈の目的として特定した時点の状態で引き渡せば足りると改正されました(改正民法998条)。
 従って,例えば,自動車を遺贈するにあたり,遺言者の生前から当該自動車に不具合があったという場合,遺贈義務者は不具合がある状態で受遺者に引き渡せば足りることになります。また,遺言者の生前から当該自動車が第三者に賃貸され,第三者が当該自動車を使用収益していた場合は,原則として,受遺者は遺贈義務者に対し,当該賃借権を消滅させるよう請求することはできません。

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