相続Q&A

「[3]遺言制度に関する改正」

質問内容

Q13:遺言執行者の法的地位は,どのように明確化されましたか?

回答

1 遺言者の任務の本質
 改正前の民法1015条の「遺言執行者は,相続人の代理人とみなす」という規定が削除されるとともに,改正民法1012条1項において「遺言執行者は,遺言の内容を実現するため,相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と定められました。
 判例では,改正前から「遺言執行者の任務は,遺言者の真実の意思を実現するにある」と判断されていましたが,そのことが明文化されたことになります(最三判昭和30年5月10日)。

2 遺言執行者の行為に抵触する行為の効力
 改正前の民法1013条は,相続人が遺言執行者の管理処分を妨げる行為を禁止し,判例も,相続人のそのような行為の効力は,遺言執行者との間のみならず,すべての第三者との間において絶対的無効という立場でした(最判昭和62年4月23日)。
 しかし,このような判例の立場を示す明文規定がなかったことから,改正民法1013条2項は,遺言執行者の行為に抵触する相続人の行為は無効とすることを明確化するとともに,取引の安全の見地から善意の第三者は保護されることを定めました。
 なお,改正民法1013条3項によって,相続債権者あるいは相続人の債権者は,遺言執行者の有無に関わらず相続財産について権利を行使できることも明文化されました。

3 遺言執行者の復任権
 改正前の民法1016条1項は,遺言執行者は,遺言で許されているか,やむを得ない事情がある場合を除き,第三者にその任務を行わせることができないと定めていました。遺言執行者は,遺言執行を行うのに相応しい者として,遺言者または家庭裁判所に選任されている以上,自らその任務にあたるべきと考えられていたからです。
 しかし,遺言執行者の任務の範囲は幅広く,遺言執行を適切に行うためには,専門家に委任することが望ましい場合もあることから,改正民法1016条1項は,他の法定代理人の場合と同様(民法105条),遺言執行者が第三者に対して復任することを認めました。

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